ラ・メールルーム誕生秘話

ご好評いただいております「ラ・メールルーム」
人気の理由と、
どのようにしてできたのか… 
長文になりますが綴っておきたいと思います。

 

20数年前のお話から~

私は貿易会社で染織部門を担当をしていました。
紡毛機や織り機、羊毛をニュージーランドやヨーロッパなどから輸入し
通信販売していました。

より多くの方に楽しんでいただきたい!そして
お客様からの質問には正しくお答えし、ご納得の上購入していただきたい!

そんな思いから
会社から特に言われたわけではないけれど、
手紡ぎと手織りを個人的に習いに行くことにしました。
(もともと手仕事が好きなので、
「習う理由がつけられてラッキー」という感じでした。)

手織り教室への持ち物

手織りのレッスンには毎回重い織り機を持参していかなければならず、
帰りにはさらに糸も増えて、荷物はかなりの重量になりました。
もっと軽くて、コンパクトになる織り機は無いものかと、
世界中の手織りメーカーの商品を調べました。
 
無い!!!
 
そう、世界中どこをさがしても、
リジッド型の折り畳み式織り機はなかったのです。

それなら、作ろう!

織り機のどこをどう切って折りたたむか、

織る時、男巻から間丁までの距離が短いと織りにくいし
経糸のテンションも乱れがちになるので
縦方向のサイズはできるだけ長く保ちたい…

いろいろと考えながら図を描いてみました。

さて、これを誰に作ってもらうのかが次の問題。
当時、新規で取引を始めたところだったポーランドのクロムスキー社
紡ぎ車と家具を作っている会社でした。
卓上の手織り機を作ってみないかと話を持ち掛け、
リジッドへドルを携えてポーランドのWolsztynにある工房を訪問。
そこで、私は、織り機の説明と手織りのデモンストレーションをさせてもらい、
クロムスキー社の方々はビデオを撮り、勉強されました。
 
ほんの2日の滞在でした。
帰国後はFaxのやりとり。
 
まずは、持ち運びやすいようにしたいので折り畳めるようにしたい、
それから当時のリジッドへドルには、裏面整経の機能はなかったので、
それをこの織り機に搭載し、
また、筬そうこうを置くレストポジションは後ろ側にあったのだが、
手前の真ん中に配置し、より使いやすい織り機を目指しました。
 
ここをああして、こうして、と絵をかいてFAXを送り
(まだEmailは普及しておりませんでしたので。)
彼らは木工のプロの観点からアイデアを出し、
やっと第一段プロトタイプが出来上がりました。
2年以上かかりました。

あとは、細かい点の改良をして、ネーミングをどうするか。

 
ポーランド語で「織り機」を意味する「クロッスノ」に決めました。
 
こうして2001年、世界初折り畳み式リジッド型織り機 
出来上がりました。

 
そうなのです、実は世界で初めての折り畳み式織り機を考案したのは
私、伊藤実代子なのです(^_-)-☆

次の課題は・・・

ところが、独占契約をしておりませんでしたので、
クロムスキー社は全世界にHarpという名前でこの織り機を販売しました。
売れ行き好調なようでしたので、お役に立てて良かったと喜んでおりました。
ただ、クロムスキー社は独自に織り機の細部をどんどん変更していき、
私のオリジナルデザインを日本向けだけの少ロットで作るのが難しいと言われ、
私はピンチを迎えます。

どこか、違うところで製造してもらうしかないな・・・

その頃、
他のメーカーからも折りたたみ式リジッド織り機が発売になっていました。
 

それなら、世界で一番使いやすい、良い製品を作ろう!

改良点を洗い出しました。

まずは折りたたむ向き。クロッスノ
クロッスノは外側にたたむ形でしたが経糸を張ったまま折りたたむ際、
経糸がむき出しになって、カバンに入れるときなど引っ掛かって乱れやすいので
内側に折りたたむようにしたい。

織り機の構造上、真半分の位置で内側に折りたたむと
平らにならず、かさ高くなってしまうので、どの位置で切ったら収まりがよく
コンパクトになるのか、
木工の作家の友人・知人にアイデアをもらい、
手伝ってもらいながら何度も何度も試作品を作りました。

よし、これで行こうと決めた時、
ちょうどニュージーランドのアシュフォード社を訪問する予定が入っていて
アシュフォード社に製造依頼することに決めました。

スーツケースに試作品の織り機を詰め込み、
現地でリチャード社長や営業担当のケイトさんに見せました。

すごいのを作ってきたな~という感じでした(^^)
メーカーサイドからの意見も取り入れ、製品化することに決定。
お互いの認識を文書にまとめ契約を交わしました。
折りたたみ式織り機第2弾の構想から最終決定まで3年の月日をかけ、
とうとうラ・メールルームが完成いたしました。

ラ・メールルーム ラ・メールルーム折り畳み

「もっとコンパクトに、もっと軽く、より機能的に!」
改良を重ねた結果です。
間違いなく使いやすい! 自信作です。
それに加え、見た目の美しさにもこだわりました。
すこしでも軽くするために両サイドのレールをカットする際、
曲線で美しくなるよ考え、
織機

ハンドルはお花のモチーフで可愛く仕上げました。

ラメールルーム織り機

折りたたみ方も簡単で、筬置きがぐらつかない工夫がされています。

折りたたみ方

織り機の裏面にはゴムの脚を取り付け、テーブルの上でも滑りにくくなっています。

 
ラメールルームはたくさんの人々の手助けがあってこそ完成した商品です。
私一人では到底出来なかった!
本当にありがたいことです!
現在、「ラメールルーム」は 弊社人気NO.1の商品となっています。
 
日本中の手織り教室でお使いいただけると嬉しいな~

ラメールルームを試してみたいという手織り教室・サークルの方、
日本全国どこへでも出張講習致しますので
お声を掛けてくださいね。

最後までお読みいただきありがとうございました!

ラ・メール 伊藤実代子

lamer@lamerr.com
https://www.lamerr.com